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骨肉種だが早期発見   化学療法などで治療

ひざ関節痛で歩行がつらい


 和夫さん(45)仮名は、2,3ヶ月前から右ひざ関節痛が現れ、最近はあるくのも辛くなってきた。近くの病院でエックス線検査を受けたところ、以上を指摘され、大学病院を紹介された。


 明らかな原因が特にないのに痛みが現れ、だんだん強くなる場合は、骨の腫瘍が疑われます。変形関節症などによる痛みだと、歩いたり、座ったりなどの運動時に痛みが増し、安静にしていれば楽になりますが、腫瘍は進行するにつれて、正常な部分の骨が破壊され、日増しに症状が強くなります。
 特に悪性の骨腫瘍が進行すると、正常な骨の部分が薄くなって骨折することもあります。これを病的骨折と言います。病的骨折を起こすと、骨の中の腫瘍が周囲に散らばって、手術が非常に困難になります。
 和夫さんは生検(腫瘍の一部を取り出して顕微鏡で確認し、病理診断を行うこと)の結果、骨肉種と分かりました。化学療法で進行を抑えた後、手術を行いました。幸い、病的骨折を起こしてはいなかったため、足を切断せずに残すことができました。
 20年前までは、骨肉種の治療は切断がほとんどでしたが、化学療法や手術療法の進歩によって、最近は90%近くが切断せずに住むようになりました。しかし、腫瘍が進行し、病的骨折を起こすと、切断となることが多いのが現状です。
 和夫さんは手術後5年後の今も転移もなく定期的に通院治療しています。早期発見、早期治療がなによりです。

(平成10年6月5日 中日新聞より 名大助手 杉浦英志先生)



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