診療ネッワーク3
大腿骨の血の巡り悪く 装具療法で約1年入院
歩行に支障出るペルテス病
小学校に入ったばかりの梨香ちゃん(6)仮名は、2ヶ月ほど前から時々、太ももの痛みを訴え、左足をかばうような歩き方をするようになった。近くの整形外科でペルテス病と診断され、紹介により、両親とともに受診した。
ペルテス病は、股関節を構成する大腿骨の血の巡りが悪くなって起こる、小児期の病気です。原因は分かっていません。
血液が供給されなくなると、骨は壊死に陥り、強度が低下するため、大腿骨は次第につぶれて行きます。変形が進むと、脚が短くなったり、股関節の動きが悪くなる後遺症のほか、関節のかみ合いが悪くなるため、大人になってから、変形股関節症に進展して、歩くのが不自由になることがあります。
小児は、成人の大腿骨頭壊死とは異なり、血の巡りが自然に回復するため、治療としては、骨頭がつぶれるのを防ぐ事が重要です。
骨頭が、骨盤のくぼみからはみ出さないようにしておくことで、約9割が変形を防止することが分かっています。
ただ、十分な血行を回復するのに、1年前後期間を要します。
治療成績の良い装具療法と手術療法をそれぞれ2種類用意し、お子さんの状態やご家族の事情に合わせて選んでいます。
梨香ちゃんのご両親は装具療法を選択され、学校を転向して、約1年間の入院治療をすることになりました。
(平成10年5月8日 中日新聞朝刊 愛知県立心身障害児療育センター第二青い鳥学園長 古橋裕治先生)