紙上診察室
Q:胸のエックス線でろっ骨の一番下の所に卵大の白い綿菓子のようなものが写り、
精密検査の結果「骨の細胞からできた腫瘍(しゅよう)」と言われました。悪性に変わ
るかもしれないので、早めに手術で切除を勧められています。5年前の写真にも写っ
ていました。切除しかないでしょうか。(愛知、女性33歳)
A:ろっ骨に発生する骨腫瘍で多くみられるものは、繊維性骨異形成症という良性の
腫瘍があります。そのほか、骨軟骨腫や内軟骨腫といった良性の腫瘍から、骨肉腫・
軟骨肉腫・がんの骨転移といった悪性の腫瘍も発生するこつがあります。ろっ骨に小
さな卵大の白い綿菓子のようなものが写っていることから、おそらくろっ骨の中の石灰
化か、骨化をみていると思います。
もし、ろっ骨の内部に石灰化があれば内軟骨腫が疑われますが、ろっ骨の外に突出
した形で変化があれば、骨軟骨腫が疑われます。これらの腫瘍は時に多発的に出現
することがあり、ろっ骨だけと思っていても他の場所にも同様の腫瘍ができていること
があります。単発の場合、すぐに悪性化することはありませんが、多発性の場合、悪
性化してくることがあり、骨軟骨腫という腫瘍が疑われます。
5年前のレントゲンにも写っていたということですが、大切なのは5年前の写真と今回の
ものとで腫瘍の大きさや内部の構造に変化がなかったかということです。大きくなってい
たり、白い綿菓子のようなものが急に増えていたりしていれば、悪性の腫瘍である骨軟
骨種と考えて治療する必要があります。骨軟骨腫の場合、化学療法や放射線療法が効
きにくいという性質がありますので、治療は手術が第一選択になります。主治医の先生
と相談された方がいいでしょう。
(平成12年8月4日 中日新聞より 名古屋大整形外科講師 杉浦英志先生)
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