救急搬送、足手術で後遺症
『病院の説明不十分』
名古屋地裁賠償を命令
自転車事故で大腿(だいたい)骨を折り、救急搬送された病院で説明が不十分なまま受けた手術の失敗で右足に後遺症を負ったおして、名古屋市熱田区の主婦(67)が治療した同区金山町の水谷病院と交通事故の相手の女性(27)を相手取り、総額約3、710万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁(堀内照美裁判長)は30日、医師のインフォームドコンセント(十分な説明と同意)を怠った過失を認定したうえで、同病院と女性に総額1、220万円の支払いを命ずる判決を言い渡した。
判決によると、主婦は1994年6月、同区金山の歩道で、自転車を運転中、女性の自転車と衝突して転倒した。主婦は同病院に運ばれ、大腿骨接合部を金属製の人工骨に置き換える手術をうけたが、術後、右足をひきずらないと歩けない障害が残り、愛知県の障害認定4級を受けている。
主婦は手術前、医師から「人工骨に置換えするか、骨を金具で止める手術をするか」と聞かれたが、意味が理解できず返答しなかったところ、医師は人工骨の置換え手術をしたという。
水谷病院の水谷武彦院長は「説明不足は十分に反省している。手術の過失の指摘もやもを得ない。今後、同じ事を繰り返さないように努めたい」とコメントした。
(平成12年8月31日中日新聞朝刊より)