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脳卒中の後遺症が残る人たちにパソコン操作を指導する河島さん(手前から2人目)=名古屋市中村区名駅南1丁目で
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《名古屋の河島さん 脳卒中の後遺症残る人に指導80回》
●「友人とメール」「闘病記書く」
脳卒中の後遺症で、半身がまひしたり言葉がうまく出てこなくなったりした人に、ボランティアでパソコンの指導をしている人がいる。名古屋市昭和区の河島正幸さん(45)。自身も17年前に多発性骨腫瘍(しゅよう)を発病、つえがないと歩けない障害者。週に1度のパソコン指導は、このほど80回を超えた。河島さんは「助け合って前向きに生きていきたい」と今後も長く活動を続けるつもりだ。(川村真貴子)
河島さんは、自らの病名からとった「シュヨーネット」というホームページを開設。ホームページ作成の請負などのほか、高齢者や引きこもりの若者らにパソコンを指導している。
もともと会社員をしていたころにパソコンは使っていたが、「障害者のような社会的弱者にとって、自宅で何でもできるパソコンは強い武器になる」と講座に通い、技術を学んだ。
脳卒中の後遺症が残る人にパソコンを指導するようになったのは05年3月から。名古屋市中村区にある、NPO法人で脳卒中の後遺症が残る人の社会復帰を目指す小規模作業所「ドリーム」で、週に1度ずつ教え始めた。
脳卒中の後遺症が残る人にとって、パソコンは手の細かい動きや脳の活性化に有効で、リハビリにもなる。
講習は、名刺づくり、インターネットの使い方、表計算ソフトでの家計簿づくりなど、基本的な操作が中心だ。半身不随でも、使える手でキーボードをたたいたり、マウスを使ったりする。
名古屋市中村区の高橋妙子さん(63)は8年半前に倒れ、右半身がまひしている。左手だけでキーボードを操作し、友人に手紙を書くのにパソコンをよく利用する。「カメより遅い歩みですが、早く友人とメールを楽しみたい」と話す。
同市中川区の藤原久美子さん(65)は、2年半前に自動車を運転中に発病し、救急車で運ばれた。右半身がまひしていて、歩くのにつえが必要だ。パソコンで闘病記を書くのが夢だという。
河島さんによると、受講者たちにとっては目的意識が持てるようになるため、パソコンに積極的に取り組むようになるほか、受講者同士の情報交換やおしゃべりなどが楽しめることから、表情が明るくなるという。
講習は受講者の体調によって休講になることもあるが、今月で80回を超えた。順調ならば、今年中に100回目を迎えられそうだという。
河島さんは、6月には独立行政法人福祉医療機構から助成を受け、ニートと高齢者、脳卒中の後遺症が残る人らに2人一組で指導役になってもらい、デイサービスセンターの入所者にパソコンを個人指導する交流事業も予定している。
河島さんは「パソコンを媒体にした交流で、前向きに生きていくきっかけにしてほしい」と話した。
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